2016.12.31
[コンサルの視点から]
今日は大晦日。
午前中に、お客様の会社で作られたおせち料理がクール便で届きました。
箱を開けてみたら、お重が鮮やかな風呂敷に包まれており
とても印象的でした。
風呂敷とは不思議なもので
「包む」、「結ぶ」というかたちが
食べる方へを大切にする思いを伝えているような気がします。
さて、「包む」つながりで思い出されたのが
山梨県の銘菓で、誰でも知っているあの「信玄餅」です。
メーカーは、創業は明治22年という㈱桔梗屋様。
2年ほど前に異業種交流会シフト21の視察研修会で訪問し
4代目社長であり、現在は相談役の中丸真治様にお話をお伺いしました。
山梨を代表する銘菓となった信玄餅は、
中丸氏がまだ高校生の頃、
県外にも持って行ける、日持ちする土産用菓子を目標にして考案したのだそうです。
念願だった家業からの脱却を果たしたどころか、
山梨県を代表するような企業に成長されたのです。
さて、工場では信玄餅の製造工程を見学できます。
大量生産のために機械化された信玄餅の製造工程で、
唯一手作業だったのが、信玄餅のあの小さな風呂敷を包む作業です。
しかも、20人近いパートさんがコンベアの前に並び
流れてくる信玄餅をビニール製の風呂敷で素早く包みます。
驚くほどの速さなのでびっくりします。
大量生産=機械化を想定していたので
人海戦術だったことに驚きました。
なぜ、包む工程だけ機械化しないのか。
中丸氏に伺ったところ、自動化した包装機械は開発したのだそうです。
しかし、効率化は可能だとわかってはいるものの、
あえて人手で包む作業を残しているのだそうです。
理由ははっきりとはおっしゃいませんでしたが、
工場見学の中で、人手で包むという作業はとても印象的ですから、
見学者に「見せる」という工夫もあると思います。
包む際に、製造された製品を人の目でチェックするという機会ともなるでしょう。
また、あの小さな包みでも、人の手で包むからこそ、少しずつ結び目が違うこともあるでしょう。
ほんとに微妙なことながらも、それが人の手を介した「温かさ」に
つながってくることもあると思いました。
効率化によって、コストが下れば、利益が増えて付加価値は上がります。
しかし、機械化で単純に効率化しては、
人の手を介した温かさ、見学者へ「見せる・魅せる」という無形の付加価値は生まれません。
信玄餅は、後者の付加価値を優先したのだろうと思います。
効率化は大事ですが、最終的には何が付加価値を生むのかの見極めが大切なのですね。
おせち料理の包みから、そんなことを思い出しておりました。
今年も大変お世話になりました。
2017年は開業20年となる節目の年になります。
初心に返り、より一層精進していきたいと思います。
引き続き、どうぞよろしくお願いします。