2017.05.14
[コンサルの視点から]
数年前に新潟県にある、着物のアフターケア専業のトップ企業である、
きものブレイン様を訪問させていただいたことがあります。
※着物のアフターケアとは染み抜き、仕立て直し、洗い張りなどを指します。
国内呉服店の3割は同社に仕事を依頼しているという優良企業です。
同社の本社・工場がある十日町市はきもの産地としても有名です。
同社は創業当初は呉服販売業(小売店への行商形態)でした。
しかし、「高価な宝石や毛皮にはメンテナンスというサービスがあるのに、
着物にメンテナンスが一般的でないのはなぜか。
汚れたまま着なければならないと、そのうちきもの文化が廃れるのではないか。」
と考え、メンテナンス業に特化した事業に切り替えていったそうです。
同社の優れた点の一つはそのビジネスモデルです。
直接の取引先は呉服店(小売店)に絞っています。
呉服店は業歴の長い店舗が多く、地域の優良顧客・お客様との強いネットワークを持っています。
メンテナンスは呉服店のアフターサービスの一環にもなり、収益源の一つにもなります。
さらにメンテナンスをきっかけにお客様への訪問や、ご来店の機会ともなるので、
呉服店にとってのメリットも大きいのです。
それゆえ、お客様と直接取引をせず、必ず呉服店を通した取引を貫いています。
現在は「メンテナンスはアフターケアだけではない」と考え、
着物を着る前に汚れをつきにくくする技術開発を行い、
「ビフォアケア」というサービスも開発しています。
お客様がどの時点で、何を感じるか。
お客様の体験(ユーザーイクスペリエンス)をヒントに、新たなサービスを開発しています。
まさに接点を広げるビジネス展開は、他業種にとっても参考になる事例でした。