2017.06.01
[事業計画・経営計画]
新事業展開に重要なこととは
「新事業展開の際に最も重要なことは何ですか?」と尋ねられることがあります。
創業の場合にも同様に尋ねられます。
その際にはマーケティングや人材確保など重要なことは沢山ありますが
私は現実的に「運転資金です」だと考えています。
事業開始前は意外に軽視されがちなのに、
開始後に「もっと準備しておけばよかった」と思うのが運転資金です。
事業展開には予想以上に時間がかかり、しかも当初の想定と違う状況が起こり、
方向転換や新たな対策を投入したりと、資金がかかってきます。
孫子を読んで
孫子はご承知のとおり、2千年以上も読み継がれた世界最古の兵法書として、
また人間の鋭い洞察の書として読み継がれており、経営者にとっても必携とされています。
私が最近読んだのは、「孫子」浅野裕一著/講談社学術文庫で、
1997年の発行以来41刷にもなっている名著です。
孫子が書かれた時代は、戦に兵(国の民)が動きます。
戦いに敗れることは兵が死ぬことですから、
無駄な死を増やして国力を損なってはいけない、
だからこそ「戦わずして勝つ」ということが言われています。
もしも戦う場合には短期決戦にして無為に力を損なうようなことをするな、と書かれています。
そして、自国の力を損なわずに敵国に切り込んでいくためには
「兵站」が大切であるといことが説かれています。
戦うには物資も食料も必要なので、それを最前線に補給することの重要性と、
その困難さと、効率の悪さに思いを致さないものは敗れるというのです。
最前線への補給線が大事
孫子のこの記述と、運転資金が私のなかでは一致しました。
今は古代のように敵国から食料を奪って戦うことはしませんが、
その代わりにいかに自分で補給線を作っておくかを考えなければなりません。
ですから、現在の事業が順調なうちに新しいことを進めることや、
始める前に運転資金を確保してくことがポイントとなります。
もしそれが準備できなければ、少資金で商品開発やテスト販売して、
方向転換を早くして進んでいく方法などを考えなければなりません。
孫子は経営の身近な課題に、とても大きな示唆に富む書籍でした。