生産性を向上させよう!

2017.04.05

[コンサルの視点から] 

●生産性とは何か
 飲食業や理美容、福祉介護などに代表されるサービス業は日本経済の約7割(GDP・雇用ベース)を占める非常に重要な産業であり、今後もサービス産業の重要性は高まる一方です。ところが、サービス業は製造業と比べて、様々な要因により生産性が相対的に低いとされています。

 

 サービス業では現場でサービスを提供する「人」が企業やお店の利益の源泉ですから、スタッフ1人ひとりの生産性(労働生産性とも言います)を高めることが重要になっています。

 
●生産性を上げることとは
 生産性を上げるとは次のように考えられています。
            
  生産性の向上 =

  (A)提供するサービスの価値を増大させる(売上げ向上)/

  (B)作業時間や作業工程の短縮(コスト削減)

 
 つまり、生産性の向上には大きく2つの方向性があります。

 分子である(A)を増やす活動、即ち「客数を増やす」「客単価を上げる」「回転率を上げる」といった考え方と、

 分母である(B)を減らす活動、つまりコストを削減する考え方です。

 

 生産性向上というと、(B)のコスト削減に目が向きがちです。しかし、コスト削減だけでは現場が疲弊したり、サービスが低下したりという弊害も発生することがあります。

 継続的な生産性向上のためには(A)と(B)が両輪で動かなければなりません。そのため複数の取り組みを上手に組み合わせることが大切です。

  
● ITの上手な活用が求められている
 (A)(B)の両方に効果をもたらす方法のひとつとして、ITの利活用が挙げられます。
 ある理美容店では、POSレジ導入による売上データの管理・分析により、新規顧客の再来店率や、再来店は何日目かなどの情報を把握しています。さらに担当スタッフや顧客の年齢、利用したサービスメニューごとにどのように違うのかを「見える化」しました。これらの「見える化」により、それまで気付かなかったスタッフの個々の課題を発掘して、スタッフごとに強化すべき技術の習得や接客プログラムを実施しています。これらITを活用した仕組みにより、スタッフの作業時間を効率化し、顧客満足度向上にもつなげ、集客と再来店率の向上を図っています。

 最近では様々な業種や業務に対応するシステムがクラウドやアプリなどにより簡単に活用できるようになりました。今までの業務の流れを見直しながら、ITを上手に取り入れていきましょう。 

 

 ※川崎商工会議所 会報誌 4月号の連載コラム「儲かる!商売に役立つワンポイント」に寄稿いたしました。