自分のメディア力とは

2017.09.20

[本だな、読んだな] 

ダウンロード

あなたの話はなぜ「通じない」のか?
        山田ズーニー  ちくま文庫

 

 相手からの信頼を得るための、スムーズなコミュニケーションの方法について書かれた本です。

 

 本の冒頭で面白い比較が出てきます。

 

 ついに 宇宙 と コンタクト(日本経済新聞)

 ついに 宇宙 と コンタクト(東京スポ─ツ)

 

 もし、同じような見出しの記事があったとしても、書かれた新聞により信頼度が変わってくる可能性があり、何を言おうとしているのかさえ、違って捉えられる可能性もあります。

 コミュニケーションとは「誰が」話したのかによって、信頼度が変わったり、説得性・納得性が変わる可能性があるのです。

 これは単なる技術ではなく、どのように信頼を得ていくかが問題になります。信頼とは相手と自分の間に橋を架けるようなものであり、その力を著者は「メディア力」と呼んでいます。

 

 一方、信頼や相手との約束を「ブランド」といい、その力を「ブランド力」いう呼ぶことがあります。

 すると「メディア力」を持つということは、「ブランド力」を持つことにほかなりません。

 そうなると、何を言うかより、自分への信頼を高めていくことこそが、最終的に自分の話を信じてもらうということになります。

 

 単にツール論、方法論ではなく、メディア力を高めつつ、受発信し、その中でコミュニケーションをスムーズに図っていこうというこの本はとても参考になりました。

 

 ある企業様の社員研修でも、この本を全員で読んで感想を話し合いました。

 自分の視点だけでなく、他者の視点も取り込み、より深い理解をしていこうという取り組みです。

 「日々の立ち振る舞いが大切」

 「自分のことだけでなく、相手を理解することがメディア力を高めること」

 など、メディア力にポイントを当てた感想にも、それぞれ違いがあり、個性が出てきます。

 

 読書をして感想を話し合った社員は、相手を理解しようとする力、つまり「メディア力」が培われていることでしょう。

 読むものにとって、大きな力を与えてくれた本でした。