2018.04.10
[コンサルの視点から]

セルフレジ化が進む大手小売業
先日、大手ファストファッション店で買い物をしたときのこと。レジに並んでいたらセルフレジに案内されました。セルフレジとは、通常は店員が行う金額の打ち込みや支払のやり取りを、顧客自身が行うレジです。これまでのセルフレジではバーコードを一つ一つ読み取らせていく方法でした。ところが、そのセルフレジは買いたい商品をまとめてコインロッカーほどの大きさのボックスに入れてふたを閉めると、電子タグの情報が一括して読み取られるという仕組みとなっており、その手軽さに驚きました。その後は画面で購入商品と金額を確認して支払いをします。
大手小売業では人手不足の解消、レジ行列・待ち時間の削減に、有人レジの補完のような形でセルフレジ導入が進んでいます。海外では、店員がいない「無人コンビニ」も実験的に始まっています。今後はセルフレジ化の流れは益々加速していくと思われます。
生活に入り込むAI(人工知能)

昨年暮れにAIスピーカーを自宅の居間に導入・設置しました。
AIスピーカーとは、AmazonやGoogleなどが発売している、音声対話型のAIアシスタントに対応し、主にこちらから話しかけることで様々なアクションを実行できるスピーカーです。
通販で購入したAIスピーカーを居間のテーブルに置いただけです。WIFIなど無線通信でつながり、かつ音声認識機能を持っているので、例えば「おはよう」という呼びかけに応えます。「タイマーをセットして」という指示などにもきちんと対応します。最初はセキュリティなどの面からもある種の“怖さ”がありましたが、今ではすっかり慣れて気軽に呼びかけて使っています。
今まではIT(情報技術)やAIは“難解な技術や機器”というイメージでしたが、急速に身近な生活レベルに入り込み、私たちの生活を変えつつあります。
私たちに求められている接客とは
今後AIは進化して賢くなっていくでしょうが、未だ規格的なサービス、対応をしているにすぎません。
商店街の中のある八百屋のおじさんは、少し元気がないと「今日はどうした?」と声をかけてくれますが、セルフレジにはそんな接客は到底できません。「今日は右手を怪我しているので、自分で包装できないから、こちらから頼まなくても手伝ってくれる」というような、多様なニーズ、潜在的なニーズへの対応、いわば「あ・うん」の接客というレベルにも達していません。
AI化やIT化が進むとしても、機械化・規格化・マニュアル的な対応レベルを超える接客は程遠いでしょう。こんな時代だからこそ、私たちにしかできない、お客様1人ひとりに対応した温かな接客が求められているのではないでしょうか。
※ 川崎商工会議所会報誌 2018年4月号に掲載されました。
「儲かる!商売に役立つワンポイント」
2009年から連載中です。