商品ではなく、ビジネスモデルを開発したパン屋 / パンのアキモトさん

2019.09.18

[コンサルの視点から] 

パンのアキモトさんは防災備蓄用として、3年間美味しく食べられる缶入りパン「パンの缶詰」を開発、販売している、栃木県那須塩原市のパン屋さんです。

 

ご縁をいただき、先月同社を訪問し、同社代表取締役の秋元義彦様にお話をお伺いしました。

 

 

 

缶入りパンの開発を思いたったのは、平成7年の阪神大震災の時、非常食としてお店から送ったパンが日持ちせず、廃棄されたということがあったからです。

 

「長持ちして、しかもやわらかくで焼きたてのように美味しいパンを作ることができないか。」

 

食品の長期保存の大敵は、細菌・酸素・光です。その3つをクリアできないか。
試行錯誤のうえ、開発されたのが缶入りパンです。

通常の商品開発でしたら、そこで終わってしまうところですが、秋元社長がすごかったのはここからです。

 

まず、防災備蓄品として長期に保管されることが多いため、賞味期限が忘れられてしまいがちです。

 

このため「リマインダーサービス」を作りました。

自宅や会社などで備蓄する食品の名前を賞味期限を登録しておくと、期限前にメールが届き、賞味期限を気づかせてくれるというサービスです。

 

登録同社のパンだけでなく、他の食品も登録できます。

 

さらにその上をいくのが、「救缶鳥プロジェクト」です。

 

自宅などで備蓄している缶入りパンを、賞味期限が残りあと1年になったら回収し、飢餓地域へ届けて、現地の人に食べてもらうという仕組み、つまり、パンの缶詰を備蓄した人自身が、世界の飢餓地域の人たちを助けられる仕組みです。

 

配送会社やNGOと連携し、お客様に購入いただくだけで、みんながハッピーになれる仕組みを作り上げました。

  

送り主がメッセージを記入できる欄も作られ、支援の見える化ができているので、社会貢献しているという実感が高まり、広まっています。

 

既に、アフリカ等の20か国に30万缶も送られたそうです。

 

社会貢献ができて、商売にも一役買うという素晴らしい仕組み、ビジネスモデルです。

    
とても簡単にできることではありませんが、「一工夫」でビジネスは大きく変わりますね。