2022.12.12
[強くてやさしい会社]
伝えることの難しさ
「伝える」ということはたやすいことではありません。
自分の考えや意見
↓
言葉にする・文字にすることで伝える
↓
相手が理解する
↓
相手が反応する(動く、対応する)
という段階を経なければなりません。
意外にも長い道のりです。
経営者にとっては
「社員やスタッフが理解してくれない」
「わかってくれない」
と感じてしまい
相手の理解力を問題視してしまうことや
匙を投げてしまうといった例も少なくありません。
伝える側の力量の問題
新型コロナ前の2019年、
福岡県大野城市の株式会社障がい者つくし更生会様を訪問する機会がありました。
同社は、知的・精神・聴覚・下肢などの障がい者比率が87%で、5人が重度障がい者のため、
障がい者雇用率が100%以上になる株式会社です。
しかも全員が正社員です。
それでも専門家から「廃棄物処理施設の中でも品質はトップクラス」
とお墨付きをいただくほど優れた経営を行っています。
障がいを持つ方は、手間がかかる面倒な仕事でもコツコツと継続して続けることが得意という方が多いです。
廃棄物を分別する作業でも、丁寧に手作業で分別し、
さらにビンや缶に入り込んだたばこの吸い殻なども取り出し、中も洗ってきれいしています。
ですから、破砕後の残渣もきれいになり、その後の工程に掛かる処理コストも削減できます。
そのうえ、粉砕機や多くの機器類を毎日丁寧にメンテナンスするので、
故障なく機械を長持ちさせています。
同社を視察した時、廃棄物処理場特有の臭いがあまりしないことに驚きました。
ここまでするまでには安全マニュアルを徹底するなど多くの困難があったそうですが、
同社では
「伝わらないのは伝える側の力量がないから」
と言います。
社員ひとりの背景や経験に合わせて、伝え方に工夫をして仕事への理解を促しています。
ですから、障がい者を雇用できない理由などなく、全ては雇用する側の力量の問題なのです。
「伝わらないのは伝える側の力量が無いから」と聞いた時、
私自身、大きなショックを受けました。
「伝える」ことが仕事ですから。
ですので、同社の言葉を、折に触れて思い返しています。
あなたは、伝えることの工夫や、忍耐、努力をしていますか?
その努力は足りていますか?