暗闇で視えたもの~ダイアログ・イン・ザ・ダークでの体験

2024.08.16

[強くてやさしい会社] 

視覚が8割

 

人間の知覚の割合は

視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚は1%だそうです。

つまり、視覚から得る情報が8割で、残りは2割しかありません。

 

その視覚情報が無くなったら、どんなことになるのか。

竹芝の「ダイアログ・イン・ザ・ダークで体験する機会がありました。

 

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、日本語にすれば「暗闇での対話」という意味です。

   

 

純度100%の暗闇とは

 

 

案内人(ガイド)はノージーさんという、視覚に障がいをお持ちの方。

 

中に入ると、完全な真っ暗。

光を発するものが何もありません。

照度0、純度100%の暗闇を、入り口で渡された、たった1本の白杖を頼りに進みます。

 

ノージーさんの声を頼りに、私も他の参加者も恐る恐る進んでいきます。

 

声のするのが近くなのか、右側からなのか、左側からなのか。前からなのか、後ろからなのか。

 

また、白杖からの反響音や、こつんと当たる感覚から、どんな場所なのかを把握します。     

 

今回は、能登の祭りという企画体験です。

海の波の音、祭りの太鼓の音。同じ会場にいる体験者たちの話し声。

 

真っ暗ななかでの買い物体験。ジュースの瓶の蓋を開けたら、蓋をどうする?

ドーナツを買ったけれど、どんな色をしているのだろう。

 

屋台の輪投げゲームやヨーヨー釣り。輪を投げているのに、距離感がつかめない、もどかしい感覚。

 

約90分、不思議な体験でした。

 

 暗闇で感じたこと

      

私たちが普段、見えているからこそ享受できているものがいかに大きいか。

 

PCやスマホなどにも、あまりにも視覚に頼りすぎていて、他の知覚をおそろかにしている部分がありすぎでした。

 

また、コミュニケーションのあり方についても考えさせられました。

暗闇のなかでは、ガイドさんの声とアドバイスでしか進むことができません。

時には、背中に手を添えて、進むのがやっと。

 

私たちが「普通」に暮らしていけることも、視覚があるからです。

 

自分は「生かされている」という、儚い存在であること。

1人では生きてはいけず、他とのコミュニケーションの大切さを痛感した体験でした。

 

 

そして私たち、いわゆる健常者と呼ばれている者は、暗闇では何もできない障がい者です。  

でも、視覚があるから、健常者と呼ばれているに過ぎません。

 

視覚障がいをお持ちの方への対応のあり方について、本当に考えさせられました。

 

点字ブロックやその他のツールも、本当に心もとないのが、私達が普段暮らしている社会であり、街であり、施設ではないでしょうか。

  

私には何ができるのか。

他との対話と、自分との対話の時間となりました。

 

ぜひとも一度体験をお勧めします。

                 (代表取締役/中小企業診断士 有村知里)