2024.11.09
[本だな、読んだな]
土曜日は最近読んだ本の感想です。
『なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?』
著者:森田健司
出版:2019年 ディスカヴァー携書
石田梅岩(1685~1744年)は江戸時代の学者で
石門心学の創始者です。
恥ずかしながら、つい最近まで
石田梅岩の名前を全く知りませんでした。
石田梅岩は、もともと商人だったのですが、
働きながら独学で学び
45歳のときに、私塾のような学びの場を始めたとのことです。
当時、商いは卑しい行為ともされているなかで、
梅岩は、日常の”働くこと”がいかに尊いものであるか
を市井の方に説いていきました。
働くことのなかで、
・倹約
・勤勉
・正直
を最も大事なことであると教え、
日常の行為(働くことを含め)の意味を深く理解させて、
ひとり1人の人生を豊かにしつつ
尊厳を与えたのが、梅岩の学問でした。
江戸時代から明治に続く、日本という国の発展の基礎を築いた
道徳的に高い意識を持つ、労働者を育てたのが
梅岩の学問だったと言われています。
「正直であれ」ということを説き
正直者こそ長期的には栄えるということを語りました。
人は単独では生きていけない。
だから、人間の本性は、
共同体の維持を考慮する行いこそを是としています。
ゆえに、「正直であれ」という考え方です。
商人は、取引先や顧客があってこそ成り立つ仕事のため
自分だけが利を得ても、他の人々が絶えてしまっては
何の意味もない。
「真の商人は、先方も立ち行き、
自分を立ち行くことを思う」
と良しとしたのです。
三方よし、五方よしの原点ともなるような言葉です。
「人を大切にする経営」の原点の一つともいえる学問があることを知り
大変興味深く読みました。
人間ってきっとずっと変わらない。
その変わらない「根っこ」の部分は大事にしたいと思います。