2024.11.16
[本だな、読んだな]
最近読んだ本
『評伝 伊那食品工業株式会社 塚越寛』
この本は、「日本でいちばん大切にしたい会社」の一つとして著名な
伊那食品工業株式会社・最高顧問の塚越寛氏を長年取材している
斉藤仁氏による評伝です。
塚越氏の生い立ちから、伊那食品工業の経営に携わるようになり
どのように会社を作り上げてきたのか
長年の、丹念な取材をもとに書かれていています。
最近、訪問させていただいたときに感じた
伊那食品工業株式会社様の空気感のもとが
評伝から学べるのではないかと読みました。
その中から学んだことを記載します。
塚越氏は、1970年代に「あるべき経営者の心得10か条」をまとめられています。
その後、1980年代に、その2版ともいうべき「経営者に必要な条件」として書き換えられ
さらに進化した、「21世紀のあるべき経営者の心得」が紹介されています。
心得の10か条全てが、経営者として理解しておくべきこと
持つべき姿勢であると感じました。
ここでは、その中の2つを紹介します。
「九 文明は後戻りしない、文明の利器は他社より早く、フルに活用すること」
進取の気風が感じられます。
伊那食品工業では、毎年のように一定の設備投資が行われているとのことで
そのことも、このような心得に基づいているように思います。
一方で、
「十 豊かで、快適で、幸せな社会をつくるため、トレンドに迷うことなく
いい街づくりに参加し郷土愛を持ち続けること」
文明という、長期間にわたり社会の構造にも影響するような変化には対応するが
トレンドという、短期間で冷めてしまうような流行には惑わされない
という信念が貫かれています。
そして、かんてんぱぱガーデンのような場所を育て上げている風土を
表現しているかのような文章です。
長期の流れと、短期の波が動いている中で
その動きを読み間違えず、
変えるべきところ、変えてはいけないところを
しっかりと区別していくことが表現されています。
今の流れと動きはどうなのか
しっかりと見ていかなければなりませんね。
そんな注意を促してくれる心得です。
▶アイパス経営コンサルティング株式会社
代表取締役・中小企業診断士 有村知里