2024.12.26
[強くてやさしい会社]
昨日のブログで紹介した、
「求められる『少数精鋭の成長モデル』への自己変革」は
省力化・人財育成・多様性がキーワードでした。
この3つを成し遂げた事例が
ちょうど、東海バネ工業株式会社の事例に
当てはまるのではないかと思います。
東海バネ工業の元代表取締役社長、現顧問の
渡辺良機様です。
ヨーロッパ視察において製造業の現場を視察した渡辺様は
視察先の企業が、自分の値付けでモノを売っていることに
驚きました。
取引先相手の要求に応じてばかりでは
コストダウンするばかりで
結局もうからないということに気づかされました。
帰国後、コストダウンせずに
新しい付加価値をつけることができないかと
ヒントを探し回ります。
その時に、顧客や製品情報を「データベース化する」
という考え方に出会います。
ヒントは、ある酒問屋のシステムにありました。
酒問屋では、どのお客様が、いつ何を、どのくらい必要とするのか
予測で商品を積み込み、営業がきちんと回っているので
お客様の注文に即答えられ、喜ばれているので
値引きしなくても買ってもらえているのでした。
「うちは酒を売っているんやない。
システムを買うてもらっている」
という酒問屋の経営者の言葉に
渡辺顧問は大きなヒントをもらったそうです。
そこで、顧客情報、注文情報を
いち早くデータベース化することで
問合せに即回答し
納期遅れも無くなりという
付加価値をつけることに成功します。
機械化やデジタル化といったことに加えて
・取引先の要求が多くても、少量多品種でも儲かる
・原材料在庫がたくさんあっても儲かる
・人が多くても儲かる
という、製造業の常識を覆した
製品の提供ができるようになったのです。
のちに「ポーター賞」を贈られた同社の経営モデルは
「省力化」(デジタル化と機械化という意味を含む)
から始まったのでした。
(明日に続く)
▶アイパス経営コンサルティング株式会社
代表取締役・中小企業診断士 有村知里