教え方ですべてが変わる

2025.02.08

[本だな、読んだな] 

今日は読んだ本の紹介です。

 

『奇跡の会社』

株式会社障がい者つくし更生会

専務取締役 那波和夫著 

あさ出版 (2025年1月)

株式会社障がい者つくし更生会は、

福岡県大野城市のリサイクルセンターの運営を

40年にわたって、市から委託されている企業です。

  

同社の社員の85%は何らかの障がいを持った方で、

中には重度の方もいるので、

障がい者雇用率100%を超える会社です。

   

ところが、廃棄物処理施設の運転・管理において、

全国トップクラスと評価されています。

それゆえ、奇跡の会社というタイトルが付いています。

    

同社には2019年夏に視察にお伺いしたことがあります。

通常、リサイクルセンターといったら、

独特の異臭があるものと想像していましたが、

同社には全くそのような異臭がなく、

むしろ清々しい空気が流れていました。

周囲の住宅等からの苦情も無いと言います。

 

綺麗に丁寧に分別をしているので、

廃棄物処理の設備の故障が極端に少なく、

そのために長く設備を使うことができている

というのもすごいことです。

 

それを支えているのは、

社員への教育です。

 

社員の中には覚えることが遅い人や

自分勝手な言動を繰り返す人がいます。

これは障がい者でも健常者でも変わりありません。

那波さんは、当初「なんでこんなこともわからないのだ」

と考えていたそうです。

 

しかし、あるとき、マイナスの要素はいったん受け入れて、

「なぜ、そうなのだろう。そうなったのだろう。」

と考えてみなければいけないことに気が付きました。

社員のそれぞれに背景、事情、理由があるからでした。

 

きちんと教わって来なかった経験の人もいます。

学習の機会がなかったり、

マニュアルが整備されていなかったりする場合もあります。

いつも怒られているような環境にいたら、

相手の言うことは聞かない姿勢になってしまうこともあります。

健常者でさえ抱える問題ですが、

障がい者ゆえに、より多くの背景を持っていることもわかったそうです。

 

そのことに気が付いたら、変わらなければならないのは

自分のほうだと気が付いたのです。

 

社員への教え方、伝え方を様々に工夫していき、

その結果として、評価されている会社になっているのです。

 

発生していることは他責では解決しない、

自責が解決するのです。

 

自分の先入観を取り払い、

教える相手は絶対にできると思うことが大事であり、

同時に、伝え方(アプローチ)を工夫する必要があるのです。

相手のことを背景、事情、理由を十分に理解できていれば、

伝え方は変わります。

 

「教え方、伝え方ですべてが変わる」ことに対しては、

反省点大で、冷や汗が出てきます。

 

相手に合わせて、もっとできる工夫があるよ~

 

大事なことを気づかされた本でした。

 

▶アイパス経営コンサルティング株式会社 

 代表取締役・中小企業診断士 有村知里