高齢者とスマホオーダー~飲食店で感じたこと

2025.05.15

[コンサルの視点から] 

先日、ある飲食チェーン店でランチをいただいたときのことです。

    
そのお店では、テーブルに設置されたQRコードをスマートフォンで読み取る

セルフオーダー方式が採用されていました。

 

私は一人で座って食事をしていると

隣の席に目をやると、後期高齢者と見受けられる男性二人組がやってきました。

どうやら旧知の友人同士のようで、和やかに会話を交わしています。

 

正直に言うと、少し心配でした。

スマホでのオーダーは、

高齢の方には難しいのではないかと思ったからです。

 

けれど、その不安はすぐに裏切られました。

 

お一人がスマートフォンを取り出し、慣れた様子でQRコードを読み取り始めたのです。

スマホオーダーの経験はあるようでした。

ただ、最初は読み取りに手間取っている様子で

店員さんを呼び、サポートを求めていました。

 

このとき、「店員さんが注文を聞いてくれるのかな」と思いましたが、

QRコードの読み取りを手伝うだけでした。

結果として、男性のスマホで読み取ることができ

男性は無事に注文を完了させ、しばらくすると料理がテーブルに運ばれてきました。

 

この出来事からの次の2つのことを感じました。

 

一つ目は、高齢者のスマホ利用は、

私が思っている以上に進んでいたことです。

 

「スマホは若い人のもの」というイメージでいたわけでは決してありません。

しかし、使いこなしの程度はまだ低いのではないか、と思っていました。

少なくともこの場面では、それが偏見だったと感じさせられました。

 

二つ目は、店のスタッフの対応についてです。

確かに、QRコードの読み取りを手伝うことは丁寧な対応といえるでしょう。

ただ、それ以上に

「今このお客様にとって何が一番スムーズなのか」と考えれば、

直接オーダーをお尋ねしてしまうほうが、良いのではないでしょうか。

 

「お客様に寄り添う姿勢」こそが、

サービス業の本質と考えると、   

テクノロジーが進化する中で、

優しい対応、親切な接客とは何か。

考えさせられました。

 

そして、自分自身の考えではなく

世間の変化をきちんと見て、

把握しなくてはならないことも、

改めて勉強になったランチタイムでした。

 

▶アイパス経営コンサルティング株式会社 

 代表取締役・中小企業診断士 有村知里