2026.04.20
[メディア掲載]
実践編で「情報共有する会社」について触れてきましたが、
今回はその土台となる「言葉の意味の共有」について、
川崎商工会議所様の会報誌(かいぎしょ26年4月号)へ寄稿いたしましたので、
その内容をもとにご紹介します。
日々の経営支援の現場で感じている「言葉のズレ」について、
改めて整理した内容です。
会社の中で交わされる言葉は、
当たり前のようでいて、
実は人によって見えている景色が違うことがあります。
その小さな違いが、
判断の迷いやすれ違いにつながることも少なくありません。
今回は、その「言葉の意味の共有」という視点から、
現場での変化についてまとめました。
「言葉の意味」を共有すると、会社は変わる
同じ言葉でも、見ている景色が違う
「丁寧な対応を」
「効率を上げよう」
「お客様第一」。
こうした言葉は、多くの会社で日常的に使われています。
しかし、その意味が社員一人ひとりの中で同じかというと、
必ずしもそうとは限りません。
経営者が「丁寧に」と言うとき、
そこには「質を守りながらも、時間や件数も意識してほしい」
という思いが多いものです。
売上や会社全体のバランスを考えての言葉です。
ところが、現場では
「ミスがないように時間をかけること」
と受け止められることもあります。
この小さなズレの積み重ねは、
判断の迷いやすれ違いを生じさせます。
経営者は「なぜスピードが上がらないのか」と感じ、
現場は「言われた通りにやっているのに評価されない」
という不満や不信感につながります。
会社の中で使われる言葉の共有ができているか。
それは、思っている以上に経営の土台に関わる問題です。
意味を共有すると、判断が速くなる
言葉の意味が社内で共有されている会社や店舗では、
日々の判断が速くなります。
迷ったときに立ち返る基準が明確だからです。
ある居酒屋では、お客様目線での丁寧さについて、
「座敷での対応は全てしゃがんで行う」
「カウンターでの対応は中腰で行う」というように、
具体的に5項目程度で示しました。
この共通理解によって、
経営者が一つ一つ指示しなくても
スタッフが自律的に動けるようになりました。
お客様からのクレーム減少や店の雰囲気の向上につながり、
繁盛店になっています。
ある言葉を同じ意味で理解できていれば、
意思決定が速くなり、無理に指示や号令をかけずとも、前に進んでいきます。
制度を変えなくても言葉の共通理解だけで、
会社や店舗の動き方は確実に変わっていきます。
今日からできる第一歩
では、言葉の意味を共有するために何ができるでしょうか。
まずは、日常的に使っている言葉を一つ取り上げ、
「それはどういう意味か」と問い直してみてください。
会議の場で、
「“丁寧”とは具体的に何を指すのか」と話し合うだけでも構いません。
重要なのは、経営者が一方的に定義を押しつけるのではなく、
現場との対話を通じてすり合わせることです。
その過程そのものが、会社の判断基準を育てます。
新年度の経営計画が始まった会社も多いと思いますが、
確認したいのは数字だけではありません。
日々交わされる言葉の意味を共有することが、
会社の力を静かに底上げする一歩になります。
情報共有は、単に情報を伝えることではなく、
その意味を揃えることから始まるのだと思います。
※本記事は川崎商工会議所 会報誌に掲載された内容をもとに、
一部加筆して掲載しています。
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執筆者
アイパス経営コンサルティング株式会社
代表取締役・中小企業診断士
有村 知里
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