2026.06.03
[小さくても強くてやさしい会社づくり]
10人前後になると、社長に確認が集まりやすくなる
5人ほどの会社では、
社長が一人ひとりの仕事ぶりを比較的近くで見ることができます。
けれども、社員が10人前後になると、
少しずつ状況が変わります。
社長はまだ全員を見ているつもりでも、
現場で起きていることが見えにくくなります。
社員からの確認も増えます。
新人が入れば、その都度、
誰が何を教えるのかも問題になります。
その結果、
さらに判断や確認が集まりやすくなります。
「結局、全部自分が見ないといけない」
「教える人がいない」
そんな悩みが出やすくなるのが、
10人前後の会社なのだと思います。
責任と権限があいまいだと、人は判断しにくい
この段階で起きやすいのが、
責任と権限のあいまいさです。
どこまで自分で判断してよいのか。
どの段階で社長に確認すればよいのか。
誰が新人に教えるのか。
どこまで先輩社員に任されているのか。
そこが見えないと、
社員は安心して判断できません。
結果として、
小さなことでも社長に確認するようになります。
これは、社員に主体性がないというより、
判断してよい範囲が見えていない状態ともいえます。
人が育つためには、
任せる範囲を少しずつ明確にしていくことが大切です。
10人前後では、「小さなリーダー」を育てることが大事になる
10人前後の会社では、
いきなり管理職制度を整える必要はありません。
けれども、社長だけが教える状態から、
先輩社員も育成に関わる状態へ移っていく必要があります。
ここで大切なのは、
できる社員に丸投げしないことです。
「新人を見ておいて」
「教えておいて」
だけでは、教える側も困ってしまいます。
何を教えるのか。
いつまでに教えるのか。
どこまでできるようになればよいのか。
困ったときは誰に相談するのか。
こうしたことを、
社長と先輩社員で共有しておくことが必要です。
小さなリーダーは、自然に育つこともあります。
けれども、会社として育てる意識を持つことで、
育成は人任せではなくなります。
最初からマニュアルでなく、まずはリストでよい
10人前後の会社で、
最初から立派なマニュアルを作ろうとすると、
負担が大きくなります。
まずは、リストで十分です。
新人に最初に教えること。
1週間以内に覚えてほしいこと。
1か月以内にできるようになってほしいこと。
先輩社員が教える前に準備しておくこと。
社長に確認が必要なこと。
これらを書き出すだけでも、育成はかなり見えやすくなります。
実際に、教えることがスムーズにできている会社では、
新入社員が入ったときに、いつまでに、何を、
どのように教えるのかが整理されていました。
さらには、
「教える側が、教える前に何をそろえておくのか」
まで決めていました。
育成は、教わる側だけの問題ではありません。
教える側が準備できているかどうかも、とても大切です。
人が育つ会社は、教える人も支えている
10人前後の会社では、
社員の出入りによって担当範囲が変わることもあります。
そのたびに、
今いる社員が仕事を引き受け、新しい人に教え、日々の業務も進めていく。
そうなると、先輩社員自身が、
自分の仕事にじっくり向き合う時間を取りにくくなります。
改善したくても、改善する間がない。
教える準備をしたくても、その余裕がない。
だからこそ、教える人を支えることが大切です。
「教える役割を持ってもらう」だけではなく、
「何を教えるかを一緒に整理する」
「教える時間を確保する」
「困ったときに社長が相談に乗る」
こうした支えがあって、
先輩社員は小さなリーダーとして育っていきます。
10人前後の育成は、社長一人からチームへ移る入口
10人前後の会社では、
社長が全員を直接育てることに限界が出始めます。
だからこそ、
先輩社員にも少しずつ役割を持ってもらう。
教える内容をリストにする。
判断や確認の範囲を言葉にする。
教える人を支える。
こうした小さな習慣が、人が育つ会社の土台になります。
人を大切にする経営とは、社員に任せることでもあります。
ただし、それは丸投げではありません。
任せる範囲を整え、教える人を支え、相談できる関係をつくること。
10人前後の会社の人材育成は、
社長一人で育てる段階から、
チームで育てる段階へ移る入口なのです。
次回について
次回は、20人前後の会社での人材育成について考えていきます。
20人前後になると、
担当や現場ごとの差が見えやすくなり、
教え方や仕事の進め方にもばらつきが出てきます。
引き続き、「小さな会社の、人が育つ習慣」として考えていきます。
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執筆者
アイパス経営コンサルティング株式会社
代表取締役・中小企業診断士
有村 知里
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