ネットの新ビジネスに負けないために

2018.07.20

[コンサルの視点から] 

スタイリングを打ち出した新サービス

消費者向けネット通販市場は、2017年は約16兆5000億円に拡大しています(経済産業省調べ)。1世帯当たりのネットショッピングでの月間支出総額も利用した世帯に限ると、1世帯当たり約30,700円に達しています。

 
 消費者がネットショッピングに慣れていくなかで、レンタルや中古品売買などネット活用の新サービスも続々と生まれ急成長しています。例えば、エアークローゼットというファッションレンタルサービスは、月額6,800円で毎月1回3着の洋服が自宅に送られてきます。洗濯やクリーニングの必要はなく、着終わったら届いた箱にそのまま入れて返却します。気に入った洋服は購入することも可能です。

 大きな特徴は、買わずに借りるといった利便性、店に行かなくてよいという時間の節約に加え、プロのスタイリストが好みの洋服を選択して送ってくれる「ネット経由のスタイリングサービス」という点です。会員登録の際には年齢や職業のほか、どんな場面で着るのかという洋服利用シーン(プライベートや仕事)、サイズ情報、好きな色・着たい色、好みのスタイルなどの情報選択のほか、全身写真も送ります。さらに届いた洋服の感想をフィードバックすると、それを参考にしてより似合う洋服を選んでいき、スタイリングの精度を高めていくという仕組みです。そのため、洋服購入やスタイリングに自信がある方よりも、「いつも同じような服を購入してしまう」「コーディネートに悩みがある」という方に人気があるそうです。ですから、このサービスは顧客層を広げたい販売・ブランドと、より似合う服を探したい顧客の双方のマッチング機会を創出しているのかもしれません。

 

既存店が対抗していく方法

 ネットを活用した新サービス、新ビジネスがどんどんと生まれています。上述のサービスのような、顧客へのスタイリングはファッション販売店が持つ一つの技術であり、多くの店舗で販売の際に当たり前のように実行してきたことです。それを前面に出したことが上記のサービスの特徴です。
それでは既存店はどのように対抗していったら良いでしょうか。あるミセス向け婦人服店では、正月に「コーディネート福袋」と名付けた福袋を予約販売しています。事前に予約いただいた顧客の雰囲気やサイズや好みに合わせて、スタッフが買い付けてコーディネートし、スタイリング提案する福袋です。限定販売でも毎年好評を博しています。

   
 スタイリング、コーディネートといった技術は簡単に習得できるものではありません。当たり前のように行ってきたことの真価をもう一度見直して、アピールできる方法はないか。新しいネットビジネスに対応できることは沢山あります。

 

 ※ 川崎商工会議所会報誌 2018年7・8月号に掲載されました。

   コラム「儲かる!商売に役立つワンポイント」は2009年から連載中です。