2020.09.03
[コンサルの視点から]

傘立て(イメージ)
美しく並べられた傘を見て
いきなり「傘立て」の話です。
あなたの会社の社員用の傘立てには、雨の日には傘がどのように置かれますか?
先日、ある企業様の雨の日の傘立ての写真を拝見し、その美しさにびっくりしました。
なぜ美しいかというと、長い傘の柄の向きが全部同じ方向に揃っていたからです。
その企業とは、「かんてんぱぱ」のブランド名でも有名な伊那食品工業株式会社です。
伊那食品工業では、傘の向きを揃えなさいというマニュアルがあるから、きれいに揃っているのでしょうか?
誰かが玄関に立っていて、傘を揃えるように目を光らせているからでしょうか。
向きを揃えるような治具でも使っているのでしょうか?
いいえ、全部、違います。
社員が「こうしたほうがきれいだね」と自主的に揃えているのです。
管理しないことが最大の管理
どうしてそれができるのでしょうか?
それは、管理をしていないからです。
伊那食品工業には、社員が判断して自主的に動くという素地が出来ています。
「いい会社を作りましょう」という経営理念が、社員にも会社の隅々までも行き届き、
行動の判断基準にまでしみ込んでいるからです。
坂本光司先生も「経営者のノート~会社のあり方とやり方を定める100の指針」で
人財が最も嫌うのは、「管理」という名の刃物である
と明言されています。
つまり、管理という考え方が人財をダメにするのだと。
管理では人が育たない
松下政経塾で松下幸之助さんは、塾生にただ掃除をすることを求めたそうです。
身の回りの掃除の出来ん者に天下の掃除は出来ないと。
政経塾の来ると「どや、掃除は出来とるか?」の一言だったとか。
掃除をさせる方、政経塾塾頭・上甲晃氏は何とかしなくてはと思って、
掃除出欠の管理表を作ったり、自ら率先して掃除をしたり、
掃除の意味と意義を有識者に話してもらったりしたそうです。
しかし、効果はなく、管理では人は育たないと悟ったそうです。
会社には、経営管理・財務管理・販売管理・仕入管理・労務管理・・・など
様々な「管理がつく言葉」があふれています。
経営にとって「管理は当たり前」と思っていました。
でも、伊那食品工業様のように、管理という考え方が無い企業もあるのです。
そういう企業の業績が良く、社員も活き活きしている・・・
「管理」という考え方は捨てる
そのような企業のあり方が、いま求められていると感じました。