経営の持つ意味 ~ 「人間主義的経営」を読んで

2021.10.11

[コンサルの視点から] 

ブルネロ・クチネリ氏の「人間主義的経営」を読んで

 

イタリアのファッションブランド、ブルネロ・クチネリ社のことは

最近まで全く知りませんでした。

 

創業者ブルネロ・クチネリ氏が書いた「人間主義的経営」を読み

同社のことを知ったのです。

 

同社は鮮やかな色合いを特徴とするカシミアセーターのメーカーとして

1978年に創業しました。

カシミアセーターであれば数万円はする、「一生もの」ともいえる製品です。

現在は紳士服や婦人服、雑貨アクセサリーまで総合的に展開し

全てメイドインイタリアにこだわって販売しています。

 

ただ、高いものを作っているのではなく

クチネリ氏の理念のもとに、価値ある製品を生み出しだしています。

 

その理念が、クチネリ氏の感性あふれる文章によって

綴られていて、とても印象深い

そして、後で繰り返し読んでみたい一冊となりました。

 

 

経営とは何かという”根幹”

 

クチネリ氏が考える経営とは

事業を通じて社会に貢献するということだけではありませんでした。

もちろん、事業を大きくするだけでもありません。

 

経営を通じて、

「人間、自然など過去から未来に引き継ぐべき資産を、大切に保護し管理すること」

でした。

 

その資産も、自社の所有する資産を取り扱うだけではありません。

 

もちろん限定された範囲はあるものの

自然や地域環境や、関わる人・家族など

バランスよく管理、保護して育んでいくことです。

 

取引や交換ではなく、

与えることによって、関係を保護管理し

それによって価値を生み出していくことでした。

 

ですから、まずは与えることが経営の価値であるということを

実践している会社だったのです。

 

 

 

本から連想した、日本の2社

 

この本を読んでみて、ブルネロクチネリに似ている会社だと思ったのが

島根県太田市にある中村ブレイス様と

長野県伊那市の伊那食品工業様でした。

 

中村ブレイス様は、義肢などを製造する企業ですが

石見銀山という地域資源を再興し

また地域文化の担い手となっている企業です。

 

伊那食品工業様も、「かんてんぱぱガーデン」という

広大な森と公園のような場所を管理して

美しい工場を作られています。

 

両社の根幹にあるのも

クチネリ氏の考え方に共通しています。

 

どちらの会社も

「美しい」

「自然、地域など環境とともに歩んでいる」

「人を大切にする経営」

であることが特徴です。

 

良い会社には共通項がある、

また一つ、学びが増えました。