2025.12.24
[小さくても強くてやさしい会社]

~困ったときに声を上げられる組織が、強くなる~
企業の現場を訪問していると、
「相談が上がってこない」
「問題が大きくなってから初めて知る」
という声を耳にすることがあります。
仕組みは整っている。
報告ルールもある。
それでも、なぜか“相談”が出てこない。
その背景には、
「相談していい空気があるかどうか」
という、目に見えない文化が関係しています。
これまで、
・会議
・朝礼
・情報共有
・ミスを責めない文化
について書いてきましたが、
それらの延長線上にあるのが、
「相談できる空気」です。
1.相談ができない職場で起きていること
相談できない職場では、
次のようなことが静かに起こっています。
「忙しそうだから声をかけづらい」
「こんなことで相談したら怒られるかもしれない」
「自分で何とかすべきだと思ってしまう」
「判断を間違えたら責任を取らされそう」
結果として、
小さな違和感や不安が共有されないまま積み重なり、
ある日、クレームやトラブルとして表に出てきます。
相談が遅れるほど、
問題は大きくなり、
対応も難しくなってしまいます。
2.相談できる会社では、問題が“小さいうち”に動き出す
一方、人を大切にする会社では、
相談は特別なことではありません。
「ちょっと気になることがあって」
「判断に迷っていて」
「この対応で大丈夫か確認したくて」
こうした声が、早い段階で自然に出てきます。
相談 → 解決 → 共有 が回り始めた実際の事例
ある会社でのことです。
内勤の営業窓口のAさんが、事務所で一人でいるとき
お客様からの問い合わせ対応に困っていました。
営業メンバーは全員外出中。
内容は少し判断が難しく、マニュアルなどをみても確信が持てず、
「この説明で本当に大丈夫だろうか」
と不安を感じていたそうです。
しかし、その会社には
「困ったら、まず相談する」
という空気がありました。
Aさんは、営業担当Bさんに
「お客様からこういう問い合わせがあり、判断に迷っています」
と即座に相談しました。
するとBさんは、
過去の事例や現場での経験を踏まえながら、
具体的でわかりやすい対応方法をすぐに共有してくれました。
結果として、
Aさんは安心してお客様に説明することができ、
問い合わせは短時間で解決しました。
そして、この会社では
「それで終わり」にはなりませんでした。
後日、この出来事は
「こういう問い合わせがあり、こう対応した」
という形で、チーム内でも共有されました。
誰かを評価するためでも、
正解を誇るためでもありません。
「次に同じ場面が来たとき、みんなが困らないように」
という目的での共有です。
こうした積み重ねによって、
「困ったら相談していい」
「相談したことは、チームの学びになる」
という空気が、少しずつ組織の中に広がっていきました。
実はこの会社は、
私が継続的に関わらせていただいている企業の一つです。
相談 → 解決 → 共有
この流れが自然に回り始めたとき、
相談できる空気は、個人の安心感から
組織の文化へと育っていくのだと、改めて感じました。
3.「相談していい空気」は、経営者・上司の姿勢で決まる
相談できる空気は、
制度やマニュアルだけでは生まれません。
決定的なのは、
経営者や上司が、日頃どんな姿勢で人に接しているかです。
相談を持ちかけたとき、まず話を聞いているか
「なぜ今まで言わなかったのか」と責めていないか
結果よりも、考えたプロセスを見ているか
相談に対する最初の反応が、
次の相談を生むか、
それとも止めてしまうかを決めます。
4.相談できる会社に共通する3つの特徴
① 小さな相談を歓迎している
「どんなことでもいいから、早く言ってほしい」
この一言が、社員の安心感を大きく変えます。
② 相談=責任追及にならない
相談した結果、
誰かが責められることがない。
だからこそ、情報が集まります。
③ 上司自身が相談している
上司や経営者が
「自分も迷っている」「意見を聞かせてほしい」
と口にしている会社では、
相談は自然な行為になります。
5.相談できる空気は、「人を大切にする経営」の土台
相談できる空気がある会社では、
社員は一人で抱え込まず、
会社の一員として考え、動けるようになります。
それは、
心理的安全性
主体性
信頼関係
を育てる土台です。
相談できる会社は、
「早く助け合えるから強い」のです。
おわりに
相談できる空気は、
一朝一夕で生まれるものではありません。
けれど、
経営者や上司のちょっとした姿勢の変化が、
職場の空気を確実に変えていきます。
もし、
「相談が出てこない」
「現場の声が聞こえにくい」
と感じておられましたら、
それは改善のチャンスかもしれません。
相談できる空気を育てることは、
人を大切にしながら、
組織を強くしていくことにつながります。
必要なときに、いつでもご相談ください。
小さな一歩から、会社は確実に変わっていきます。
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アイパス経営コンサルティング株式会社
代表取締役・中小企業診断士
有村 知里
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