2026.01.01
[小さくても強くてやさしい会社]
新しい年の始まりは、
目標や計画、数字の話から始まりがちです。
「今年は何をするのか」
「どこを変えていくのか」
もちろん、それらは経営にとって重要です。
しかし同時に、経営者にはもう一つ、
必ず向き合うべき問いがあります。
「この一年、何を変えずに守り続けるのか。」
人を大切にする会社は、「変えるもの」と「変えないもの」を経営として区分している
人を大切にする経営を実践している会社には、
共通する特徴があります。
それは、
変えていくものと、変えないものが、
経営として明確に区分されている
という点です。
環境や市場の変化に応じて変えていくのは、
やり方、仕組み、制度、手段です。
ここを変え続けることは、経営の責任でもあります。
一方で、
人への向き合い方や、組織としての姿勢までを
状況によって揺らがせてしまうと、
社員は安心して働くことができません。
・人の話を最後まで聴く
・困っている人を一人にしない
・都合の悪い情報も隠さず共有する
・失敗を責めず、学びに変える
これらは「方針」ではなく、
どんな状況でも変えてはいけない経営の軸です。
「変えない軸」が曖昧な組織は、判断がぶれる
変えないものが明確でない組織では、
判断がその場しのぎになります。
・昨日は許されたことが、今日は許されない。
・人によって言うことが違う。
・状況によって基準が変わる。
こうした状態は、
社員から判断力と主体性を奪います。
社員は「どう動けばよいか」を考える前に、
「怒られないための行動」を選ぶようになります。
それは、
人を大切にしている状態とは言えません。
変えない軸があるからこそ、変化に踏み出せる
一方で、
変えないものが明確な会社は、
変化に対してむしろ強くなります。
判断に迷ったとき、
立ち返る基準があるからです。
「この判断は、<人>を大切にしているだろうか」
「この変化は、相談しやすい空気を壊さないだろうか」
こうした問いが共有されている組織では、
変化のスピードが落ちることはありません。
迷い続ける時間がなくなる分、
決断が早くなります。
変えない軸とは、
変化を止めるためのものではなく、
変化を支えるための土台なのです。
一年の始まりに、経営者が示すべきもの
元旦(1月1日)は、
詳細な計画や数字を語る日ではありません。
それよりも、
「この会社は、今年も何を大切にし続けるのか」
を示す日です。
・今年も、相談しやすい会社である
・今年も、ミスを責めない会社である
・今年も、一人で抱え込ませない会社である
これらはスローガンではなく、
経営者自身が引き受ける覚悟です。
社員は、
言葉そのものよりも、
その後の日常の判断と行動を見ています。
変えないものは、日常の判断に表れる
変えないと決めたことは、
朝礼や会議、日々の声かけ、
困ったときの対応の中に表れます。
・相談されたとき、まず話を聴く
・不都合な報告から目を逸らさない
・失敗した人を孤立させない
こうした一つひとつの判断が、
会社の文化を形づくります。
文化は単なる宣言ではなく、
経営者の判断の積み重ねによって生まれます。
おわりに
新しい年に、
何を変えるかを考えることは大切です。
しかしそれ以上に、
何を変えずに守り続けるのかを決めることは、
経営の根幹です。
変えていくものと、
変えないものの区分を明確にすること。
それは、
人を大切にする経営を、「理想」ではなく
実行可能な経営判断にするための前提条件です。
今年も、
小さくても強くて、やさしい会社づくりを、
一緒に積み重ねていけたら嬉しく思います。
2026年1月1日
アイパス経営コンサルティング株式会社
代表取締役 有村知里(中小企業診断士)


