2026.01.14
[小さくても強くてやさしい会社]

日々の経営の現場では、
「忙しい」「手一杯だ」という声をよく耳にします。
仕事は増えている。
社員も頑張っている。
それでも、なぜか利益が残らない。
価格の話になると、どうしても弱い立場に立たされてしまう。
こうした状況の背景には、
「価値を積み上げる経営」になっているかどうか
という問いが潜んでいるように思います。
当社が大切にしている5つの経営の軸の中で、
最初にお伝えしたいのが
Add Value(高付加価値経営)です。
Add Valueとは、「高く売ること」ではない
高付加価値という言葉から、
「価格を上げること」を想像される方も少なくありません。
しかし、Add Valueの本質は、
単に価格を上げることではありません。
・お客様にとっての意味
・納得感
・安心感
こうした目に見えにくい価値を、
どれだけ丁寧に積み上げているか
が問われています。
人を大切にする経営とAdd Valueは、
切り離せるものではありません。
価値は、関わり方の中で生まれるものだからです。
忙しさが、価値に変わらない会社の共通点
忙しさが成果につながらない会社には、
いくつかの共通点があります。
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・作業量が増えているだけで、目的が共有されていない
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・訪問や業務が「こなすこと」になっている
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・お客様との関係が、“取引”で止まっている
この状態では、どれだけ努力しても、
評価されやすいのは「価格」だけになってしまいます。
Add Valueは、
忙しさを増やす経営ではありません。
価値を「広げる」ことをやめ、「深める」ことで成長した企業の事例
ここで、Add Valueを体現している企業の事例をご紹介します。
産業用自動機械の設計・製作を手がける、ある中小企業があります。
かつてこの会社は、広いエリアの顧客と取引をしていました。
しかし、遠方の取引先との仕事は、
移動時間や人件費の負担が大きく、
「忙しいのに、利益が残らない」状態を招いていました。
そこで同社が下した判断は、
「片道1時間以上かかる顧客とは取引をしない」
という、思い切ったものでした。
新規の遠方案件は受けず、
取引先をエリアで絞り込んだ結果、
顧客数は一時的に減少しました。
一見すると、
売上を捨てる判断にも見えます。
しかし、取引先を絞り込んだことで、
一社一社に向き合う時間とエネルギーが生まれました。
機械の不具合への迅速な対応はもちろん、
顧客の悩みや課題に踏み込んだ
提案型の関わりができるようになったのです。
その結果、
売上高は以前の4倍以上に伸び、
利益率も大きく改善しました。
この会社は、市場を広げたのではありません。
価値を深めることで、選ばれる存在になったのです。
Add Valueは、経営者の「判断の積み重ね」
この事例が示しているのは、
付加価値は、戦略やテクニックではなく、
日々の経営判断の積み重ねだということです。
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・どの仕事を受けるか
-
・どこまで対応するか
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・誰に、どの裁量を任せるか
-
・価格について、どう向き合うか
こうした一つひとつの判断が、
会社の価値を形づくっていきます。
人を大切にする経営とは、
「すべてに応えること」ではありません。
価値が生まれる関係性に、時間と人を使うことです。
Add Valueは、他の4つの軸の起点になる
Add Valueという軸は、
他の4つの軸とも深くつながっています。
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・価値を理解しているから、社員は自立できる(Independent)
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・価値に自信があるから、価格を自分で決められる(Pricing myself)
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・価値づくりに向き合うから、厳しさと温かさが両立する(At home)
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・価値を積み上げるから、堅実な成長につながる(Steady Growth)
Add Valueは、
アイパスの5つの軸の出発点とも言える考え方です。
おわりに
Add Valueは、
目先の売上を増やすための方法論ではありません。
社員にどのように成長してもらいたいか。
時間をどこに使うのか。
何を大切にし、何を手放すのか。
その姿勢の積み重ねが、
結果として、価格では測れない価値を生み出します。
次回は、
このAdd Valueを支える
「Independent(自立型経営)」について、
考えていきたいと思います。
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アイパス経営コンサルティング株式会社
代表取締役・中小企業診断士
有村 知里
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