2026.01.21
[小さくても強くてやさしい会社]
「社員には、もっと自立してほしい」
経営者の方から、よく聞く言葉です。
しかし、現場で思うように自立が進まないとき、
私たちはつい「社員側の意識」や「能力」に目を向けてしまいがちです。
けれども本当に問うべきなのは、
経営そのものが自立しているかどうか
ではないでしょうか。
アイパスが大切にしている5つの経営の軸の一つ、
「Independent(自立)」は、
まず経営者自身に向けられた言葉だと考えています。
Independentの第一の意味|経営としての自立
経営は、他者・他社との関係なしには成り立ちません。
取引先、顧客、金融機関、地域社会。
多くの関係性の中で、会社は存在しています。
しかしそれは、
受け身で経営をすることとは違います。
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・下請として言われた仕事をこなすだけ
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・条件を提示され、それを飲むしかない
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・価格や納期を自分で決められない
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こうした状態は、
経営の主導権があるとは言えません。
Independentとは、
「誰とも関わらない」ことではありません。
自ら商品やサービスを考え、
自ら価値を定義し、
自ら選ばれる立場に立とうとする姿勢です。
これは、経営者の自立にほかなりません。
経営が自立していないと、人を大切にできなくなる
経営が受け身の状態にあると、
そのしわ寄せは、必ず現場に向かいます。
・無理な納期
・採算の合わない仕事
・断れない要求
結果として、
社員が疲弊し、
余裕がなくなり、
人を大切にするどころではなくなってしまう。
Independentは、
理想論でも、格好の良い言葉でもありません。
人を守るための経営判断でもあるのです。
経営としての自立を選び取った、製造業2社の事例
ここで、経営としての自立を体現している
二つの製造業の事例をご紹介します。
いずれも、親が創業し、
息子が入社して経営を支えていた会社です。
長年、大口の取引先に支えられ、
下請として安定した仕事を続けていました。
しかしある日、
その大口取引先が突然倒産します。
売上の多くを一社に依存していたため、
両社とも一時は深刻な経営危機に陥りました。
そこで突きつけられたのは、
「元に戻る努力をするのか」
それとも
「経営のあり方そのものを変えるのか」
という選択でした。
下請からの脱却は、「覚悟」を伴う決断だった
その二社の後継者たちが選んだことは、
元の形に戻ることではありませんでした。
・大口依存をやめる
・販路を分散させる
・自社の技術や強みを見直す
さらに、
・自社製品の開発
・これまでとは異なる用途・業界への進出
といった、新たな取り組みに踏み出していきました。
もちろん、
こうした変化は一朝一夕で実現したものではありません。
試行錯誤を重ねながら、
時間をかけて形にしていったものです。
それでもこの二社は、
下請に戻らないという選択を引き受けました。
Independentとは、「大きな一歩を引き受けること」
この二社の歩みが教えてくれるのは、
Independent(自立)とは、
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・不安を抱えながらも
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・自分たちで選び
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・自分たちで決め
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・その結果を引き受ける
という、覚悟の言葉だということです。
依存から抜け出すことは、
楽になることではありません。
むしろ、責任は重くなります。
それでも、
経営として自立したからこそ、
人を大切にする余地が生まれました。
経営の自立が、社員の自立につながっていく
経営が自立し、
「何をやる会社で、何をやらない会社なのか」
が明確になると、
現場の判断は驚くほどしやすくなります。
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・何を大切にすればよいのか
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・迷ったとき、何に立ち返ればよいのか
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・どこまで任せてよいのか
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社員の自立・自主性は、
経営の自立の延長線上にあると思います。
経営が受け身のままでは、
社員に判断を委ねることはできないのではないでしょうか。


