At home ――やさしさは、覚悟の上に成り立っている

2026.02.18

[小さくても強くてやさしい会社] 

前回のブログで書いたとおり、
At home は「優しい会社」のことではありません。

 

家に例えると、

経営の軸(理念)という柱があり、

基準や仕組みという骨組みがあり、

その上にやさしさという屋根がかかっている。

“屋根”のような存在。
それが、やさしさです。

 

では、そのやさしさは、

現場でどのように機能しているのでしょうか。

 

「うちは一家だから」という言葉の重み

ある電気工事会社(社員約60名)では、
「うちは一家だから」という言葉が自然に使われています。

 

この言葉は、仲が良いという意味ではありません。

 

同じ船に乗っているという覚悟。
そして最後は経営者が引き受けるという責任。

 

その重みを含んだ言葉です。

 

この会社は、かつての下請け体質から脱却し、
主導権を持って仕事を選ぶ経営へと転換してきました。

 

指示を待つ立場ではなく、
対等に意見を言う立場を選んだのです。

 

ですから、同じ現場に入っている

他社の施工に不備があれば、
たとえ見えない場所であっても、
お客様に正直に伝えています。

 

その判断は、
売上や効率よりも

「自分たちらしさ」によって行われています。

 

そして、それができる  

技術力と人間力を磨き続けること。

    
それが一家としての誇りであり、基準です。

 

 

経営が自立しているから、やさしさが機能する

この会社が人を大切にできるのは、
経営基盤が自立しているからです。

 

主導権を持って仕事を選び

技術で評価され、利益を確保している。

 

だからこそ、

・休業補償金の100%支給で、休業中の社員の給与を保証する

・実質定年無しで、65歳を過ぎても減給しない

・様々な法定福利制度がある

など、様々なやさしさの選択が可能になります。

 

もし外部に依存し、
余裕がなければ、
やさしさは継続できません。

 

やさしさは、
基盤と覚悟の上で初めて機能するのです。

 

 

愛情は、甘さではない

「一家」という言葉には、
もう一つの意味があります。

 

それは”家族のような”という意味です。

 

家族とは、
甘やかし合う関係ではありません。

 

愛情のある親が、
子どもの未来を思って、時に厳しく接するように、
厳しさは相手を大切にしているからこそ生まれます。

 

この会社では、
技術も、人間力も、磨くことを求められます。

しかし、見捨てることはありません。

 

例えば、上記の休業補償で、

休業中の社員にも給料を保証する代わりに課題を出し、
会社との接点を持ち続けるようにします。

 

ある意味、関係を切らないという姿勢が、
やさしさの本質です。

 

また、新入社員を一人ぼっちにさせないよう

若い先輩社員が寄り添って面倒を見ていく

ブラザー・シスター制度などを設けています。

 

 

やさしさは会社の文化になる

「うちは一家だから」という言葉は、
単に情緒的なスローガンではありません。

 

迷ったときに立ち戻る基準であり、
自分の行動を問い直す言葉です。

 

その行動は、自分たちらしいか?

その判断は、自分たちらしいか?

 

この問いが自然に共有されている状態こそ、文化です。

 

At home とは、
雰囲気ではなく、
そうした“らしさ”が育っている組織のことなのかもしれません。

 

 

強くて、やさしい会社は設計されている

At home は偶然の空気ではありません。

 

  • ・経営として自立し

  • ・主導権を持ち

  • ・利益を確保し

  • ・明確な基準を持つ

その上で、

  • ・社員の心と経済の健康を守り

  • ・成長を促していく

 

このような人を大切にする選択を積み重ねていく。

その積み重ねが文化になります。

 

強くて、やさしい会社は、

偶然ではなく、設計され、育てられているのです。

 

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アイパス経営コンサルティング株式会社  

代表取締役・中小企業診断士  

有村 知里

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