経営は「攻め」と「守り」のバランスを

2016.07.25

[事業計画・経営計画] 

ブログ_経営は「攻め」と「守り」のバランスを

少し前のことですが、東日本大震災後に福島県内にある江戸時代から続く創業250年余の酒造会社を訪問する機会がありました。

 

現在の当主は10代目とのこと。

 

「当社における最大の経営危機は、江戸時代の大飢饉(ききん)と明治維新だったと伝え聞いています。それを考えると東日本大震災はそれほどでもないと思います。」と、日本の歴史がさらりと話題に出てきたのには驚きました。

 

「250年も続いてきた秘訣は何ですか?」という問いかけに対しては「歴代の当主が環境変化に柔軟に対応してきたからだと思います」と回答されました。

 

お話をお伺いすると、この酒蔵ではたゆまぬ革新がありました。例えば、販売面では欧米の酒の嗜好を分析していち早く欧州への輸出を展開し、生産面では充填工程で空気に触れずに鮮度を保てるよう新たな方法を開発し特許を取得しています。市場や顧客の変化を敏感にキャッチし、革新的な取り組みに挑戦しています。

 

それらを「攻め」の対応とすれば、経営のリスクを減らす「守り」にも配慮を怠ってはいません。

 

例えば、防災についても社員と一緒に取り組み、工場の酒造タンクを固定するなど様々な工夫をしてきました。そのため東日本大震災では幸いにもタンクの倒壊を逃れて被害を最小限に食い止めたそうです。その他にも攻めと守りの取組みが随所にあり、それらのバランスに配慮されています。

 

「攻め」は設備投資や新分野進出のような、規模の大きなことだけではありません。また「守り」も惰性的な現状維持ではありません。惰性は「衰退」を意味します。環境変化が一段と早いなかでは「攻め」の姿勢が「守り」にも有効と言えるのではないでしょうか。

 

経営の「攻め」と「守り」のバランスを見直したいものです。