年間来場者を3倍以上にした、小さな水族館の対策とは

2018.09.11

[コンサルの視点から] 

 竹島水族館は愛知県蒲郡市にある小さな水族館です。

 
 スタッフのある努力によって、年間来場者数が3倍強(12万人→40万人になったというのです。

 その秘訣は何なのだろう、と見学に行ってきました。

 

 訪問日は休日だったこともあり、炎天下にも負けず、チケット売り場に長い行列が。
 入館後に気づいたのですが、行列にも関わらず、売場窓口を一つしか開かないのは、来場者を制御しているからでした。

 

 入館したら、通路に人があふれていて驚きます。
歩くことがまともにできませんし、ほとんど進むことができません。

   

 

 人気の理由は、「身近に楽しめる」からです。

 

 展示の魚について、子供でもわかる説明POPが付いているからです。

 来場者はそれを読みながら進んでいるので、なかなか動きません。 

 

  POPは、飼育員さんなどスタッフが全て手書きしたもので、

 魚の生態を、面白く、わかりやすく解説しています。

 

 「深海魚を私たちは食べていた」とか、

 「チンアナゴを穴から出してみたら意外に長かった」

とか、今までの水族館には無かった、当たり前なんだけれど

素朴な疑問からの説明です。

 

 しかも、手書きなので、温かみがあります。

 

 イラストも上手とは言えませんが、丁寧に書かれていることが伝わってきます。

 

 

 

 

 
 

  

 

 右の写真は、「魚歴書」というもので、魚の特徴を説明したものです。

 

 項目は、

  名前・年齢・出身地(住所)・職歴・資格・性格・

  好きなえさ、嫌いなえさ、

  どんな水槽や環境で暮らしたいか

  お客さんに希望すること

という切り口がユニークです。

 

 図鑑的な、”無味無臭な”解説ではなくて、スタッフ目線で魚をどう見て、接しているのか、肌感覚で伝わってくる解説です。

 

 これは読み込んでしまいますし、親子だったら会話が弾むことでしょう。

「POP」は良く、もう1人の販売員と言います。

 

でも、それは一方的に売るためのものでなく、

 お客様の立場になって、

 楽しませて

 おもてなしをする 

ためのものなのですね。

 

 竹島水族館の手書きPOPには、

「せっかく来ていただいたので、楽しんでいただこう」

というおもてなしの心があふれています。 

 

 「小さくて何もない」水族館が、「人が集まる」水族館に生まれ変わったのには

学ぶところが大いに有りました。