”キャッシュレス化”ってどうなるの?どうすれば良いのか?

2018.11.08

[IT活用・デジタル化] 

川崎商工会議所会報誌2018年11月号

川崎商工会議所会報誌2018年11月号

川崎商工会議所会報誌の「儲かる!商売に役立つワンポイント(連載)」2018年11月号に、拙稿が掲載されました。

 

連日話題になっている「キャッシュレス化」について、原稿を用意していた9月上旬では、キャッシュレス化はお店として努力しなければならないもの、という認識でおりました。

 

しかし、10月に入ると、政府がキャッシュレス決済を普及させる狙いで、消費税率の10%への引き上げと軽減税率の導入に合わせて、お店でキャッシュレスで買い物すると、2%分をポイントで還元する仕組みを企画しているというニュースも流れてきました。

 

これが現実化すれば、一気に、キャッシュレス化の波が来るかもしれません。

 

キャッシュレス化の動きを今後も追っていきたいと思います。

 

 

キャッシュレス化に備える

キャッシュレス化は進んでいるのか?

 「キャッシュレス化」とは、クレジットカード、デビットカードや電子マネー等を使って支払いをし、決済を現金のやり取りなく進めることです。キャッシュレスによる決済比率は、進展している国では40%~60%台に達しています。しかし、日本では18%ほどでしかありません。

  
 なぜ、キャッシュレス化が進まないのか。その理由は、日本は治安が比較的良く、ATMなど金融インフラも整備されているため、現金決済が便利に使えるからです。決済端末の導入や利用手数料といったコスト面が店舗側の負担もにとってもキャッシュレス化への足かせになっています。資金回収サイクルのこともが長くなることも、現金決済が優位になるの理由の一つです。

 

 最近では、災害時の停電でカードが使えず、キャッシュレス化だけでは難しいという意見事例も出てきました。

現金は便利なのか?

 しかし、現金決済が全て良いのでしょうか。現金決済は便利な反面、管理コスト・時間への負担は大きいです。あなたのお店では、レジ精算作業や釣銭の準備など、現金関連作業にどれほどの手間がかかっているでしょうか。

    
 レジ1台の店舗の1日あたりで、現金残高の確認作業25分、売上データの集計作業23分、銀行などでの現金両替作業8分、つり銭をレジに準備する作業10分、売上を銀行口座に入金する作業14分と、単純に合計すると80分の時間を費やしています。(野村総研資料) 

     
 人材不足の中では、このような現金関連作業自体を減らすことは大きな意味を持ちます。クレジットカードか電子マネーでしか決済できない店舗を開いたある大手飲食業では、現金管理を無くして空いた時間を、直接的な業務(接客や調理)や店員教育に振り向けることができたといいます。これにより、キャッシュレス化は生産性の向上や顧客満足度向上にも一役買っています。  

    
 消費者にとってもキャッシュレス化は便利です。高齢者は目が悪くなり、指先の感覚も鈍るため、財布の小銭を取り出すのが難しくなります。高齢者でも、キャッシュレス化に慣れれば、小銭を扱う煩わしさから解消解放されます。

 

新たな取組みを理解しよう

 最近は小規模店舗でも容易に導入できる、QRコードによるコストを抑えたキャッシュレスサービスも増えてきました。現金決済が全て無くなることはないでしょうが、国の後押しもあってキャッシュレス化は進んでいくことでしょう。

 

 「新しい方法に抵抗がある」と言って避けてはいられません。自店の生産性向上や顧客の利便性向上のため、積極的に新しい方法を理解・導入していきましょう。