“見て習う”の現代化で即戦力化。左官屋さんが実践する働き方改革。

2018.12.27

[コンサルの視点から] 

原田左官工業所 本社

左官職人さんと聴くと、親方と弟子の厳しい師弟関係を思い浮かべてしまいませんか?

 

「見て盗め」と親方から言われて、一人前になるまで長時間かかるというのが職人の世界でした。

 

 

モデリング訓練の壁と、原田宗亮社長

しかし、東京・文京区の(有)原田左官工業所は、「モデリング訓練」という新しい形で、経験のない若手や女性の左官職人さんを育てています。

 

モデリング訓練というのは、簡単に言うと「真似ること」

 

ベテラン職人が壁を小手で塗る動作を撮影したビデオ動画を見ながら、新人は同じように実践する。

新人の動作を動画で録画して、先輩職人の動作と比較して、本人に気づかせていくという訓練です。

 

 

また、新人は4年間で一人前にするという目標を設けています。

 

1年目はモデリング訓練・OFF-JTとOJTを組み合わせ

2・3年目はタイル職人や左官職人として訓練を積んでいく

4年目はリーダーとして現場を回せるようにするそうです。

 

4年目には「年明け(ねんあけ)披露会」の祝いの席を設け、家族なども招待してセレモニーをします。

 

皆で祝うことで本人の気持ちに残り、仕事を続けていく励みになっているそうです。

 

 

 

新しいデザインが並ぶショールーム

このような仕組みで、原田左官工業所では60名を超える職人が在籍しています。

 

しかも60%が30代以下、女性職人も9名いて、多様性が高いです。

 

多様性の高さは、様々なデザインへの提案と挑戦に繋がり、新しいデザインを生み出す提案型職人集団として、価格競争の少ない、”店舗左官”の市場で高いシェアを誇っています。

 

働く環境が厳しいと言われている業界であっても、働き方改革は可能なのですね。

 

そして、若手や女性が活き活きと活躍することで、新しい付加価値を生み出していく、好事例を拝見しました。

 

(人を大切にする経営学会 現地見学会より)