2021.05.24
[コンサルの視点から]
新型コロナよりも前に
先日、『コロナ倒産の真相』帝国データバンク情報部著(日経プレミアシリーズ)を読みました。
コロナ倒産の定義は、新型コロナウィルスが主要因または一要因となっている倒産で
それを当事者や代理人などが認めているものと、定義しています。
いくつもの事例が紹介されていたのですが
私には「これってコロナ倒産と言えるのかしら?」という事例が多くありました。
というのも、コロナが発生する前から
経営陣の怠慢や不正、人事の甘さや、市場での位置づけの曖昧さ
急激な成長ゆえの歪みなどがあったという例が少なくなかったからです。
家の土台がもろく、家が少し倒れ掛かったところに
コロナという強い風が吹いて
あっという間に倒れてしまった、とでもいいましょうか。
新型コロナは「きっかけ」にだったのです。
小さくても強い会社を目指せ
一方で、老舗企業が様々な苦難を乗り越えて
強い会社を作ってきたことに学ぶべき、と言っています。
ここで着目すべき興味深いデータが示されています。
(いずれも帝国データバンク調べ)
●業歴が100年を超える老舗企業数
実に全国に3万4000社も!!
そのうち、上場企業は2%
年商規模10億円未満の企業が約8割
そのうち1億円未満の企業が4割
売上規模と企業体力(強靭力)は必ずしも一致しないのですね。
●これまで直面した大きな危機
1位 戦争(おそらく太平洋戦争。。) 35%
2位 主力商品の売上激減 28%
3位以下に資金繰りや災害など
コロナ、あるいは外部環境変化による売上激減は起こりうるのです。
●ピンチを脱した転機
1位 業態の変化 約3割
2位 扱い商品の変更 約23%
まさに「事業再構築」です。
これらのデータを見て、
私は、100年以上生き残ってきた企業が決して大きな企業ではないこと
に着目しました。
むしろ急激に大きくなった会社などは弱さをはらんでいて
問題が出た時に、一気にそれが露呈します。
細い木でも年輪が詰まった樹木のほうが
強いというわけです。
そして小さいほうが方向転換も早い!
このような転換期だからこそ、小さいことが強みにできる
しなやかな企業にしていきたい。
そのお手伝いをしていきたいと、改めて強く思いました。