非価格経営について考えてみよう

2021.07.14

[コンサルの視点から] 

川崎商工会議所の会報誌7・8月号に寄稿させていただきました。

2009年4月から始まっているコーナーで、もう13年目になるのですね。

時々「読みましたよ」と川崎市内の経営者様から声を掛けられるのがありがたいです。

 

非価格経営とは何か

 非価格経営とは、「価格の安さを売り物にしていない経営姿勢」を言います。

 2016年に約1000社を対象に行ったある調査で、価格の安さを売り物にしている企業、

 価格の安いことが存立基盤であるという価格競争型企業は約8割を占めました。

 

 つまり、その逆となる、非価格経営の企業は2割しかありません。

 

非価格経営企業への新型コロナの影響

 新型コロナウィルス感染拡大で2020年度の消費支出は前年度から4.9%減と大きく落ち込みました。

  
 一方、非価格経営の企業・店舗では影響がほとんど無いどころか、逆にプラスの機会になっているところも少なくありません。

 
 食品スーパーM社(高崎市)はナショナルブランドを一切販売せず、全国の中小メーカーや産地から独自の基準で品揃えしています。

 平均客単価は一般スーパーの2倍の4,000円に達しています。

 コロナによって自宅での食事が増えたため、客数も増加傾向です。

 また、日頃からの健康を意識した品揃えをしてきたので、顧客の健康への関心の高まりがさらにプラスに働いている様子でした。

    
 東京郊外にあるT美容院は化学物質を使った液剤を一切使わず、オーガニックにこだわっています。

 客単価1万4千円強と業界平均より8千円ほど高いにも関わらず、稼働率90%、リピート率90%以上の繁盛店です。

 新幹線で毎月通うお客様もいます。緊急事態宣言などにより昨年4月~7月は遠方から来店される客数減少がありました。

 しかし、その後は近隣のお客様が増えていきました。都心の美容室に通っていたお客様が、

 近隣にも自然派でこだわりがある同店があることを探して来店するようになったからです。

    
 オーダーメイド万年筆を製造販売するM社(鳥取市)は海外のお客様による売上が5割を占めています。

 コロナで一時期売上減少がありましたが、昨年5月以降は回復し、海外からのオーダーが増えて、客単価も増加傾向です。

 在宅ワーク等で人に会う機会が減ったため、手紙などを通じた温もりのあるコミュニケーションがより一層見直されているからでしょう。

 

非価格経営がもたらすもの

 上記の企業・店舗は非価格経営を貫く中で、商品・技術・サービスの差別化、ブランド価値の創造、ニッチな市場創造を図り、顧客からの強固な信頼がありました。

 

 コロナの影響を受けなかったのも、これまでの経営活動ゆえと推察します。

   
 非価格経営への転換は一朝一夕ではできません。

 

 ただ、新型コロナによって顧客の行動や意識が大きく変わっている今は、

 企業や店舗にとっても価格に対する意識を見直す機会なのではないでしょうか。