社長と社員の”言葉”の違い

2021.10.26

[コンサルの視点から] 

「現状維持」という言葉への反発

 

先日、ある社長(A社長)様から、”失敗談”を伺いました。

 

A社長が、その企業の部門ミーティングで、

「現状維持のままだと、将来的には良くないよ」

とひとこと、発したところ

 

社員の一人から

「僕たち、曲がりなりにも一生懸命やっていて、

 現状維持でなんかじゃないですよ。」

と言われてしまったそうです。

 

普段、社員の頑張りを認めていて

対応もしているA社長でしたから、

社員の言葉に驚いたようです。

 

その部門は社員の努力もあって

ここ数年、売上は順調に伸びています。

 

A社長は決して、社員の頑張りが足りないとも

何かが悪いと言っていたわけではありません。 

 

では、どうして反発があったのでしょか?

 

言葉の意味が違っていた!

 

それは、「現状維持」という言葉の定義が

A社長と社員では違っていたからです。

 

社員の「現状維持」は

 

何も努力をせずに、惰性で仕事をしているという意味のことでした。

 

自分たちは様々な改善をしていて、現状維持にならないようにしているし

売上も上げている自負がありました。

 

一方、A社長の「現状維持」は

現状の仕組み(市場、やり方やビジネスモデル)がそのままではいけない

と言っていたのです。

 

少し将来のことを考えると、商圏やライバル企業の動向など

気になることがあったからです。

同じような方法を続けていてはいけない、という意味でした。

 

社長と社員は視座、視点、視野がちがう

 

A社長と社員の意見の相違は、

 

経営改善と、経営革新(改革)の違い、

 

あるいは、

 

現在からの見方と、将来からの見方の違い

 

といってもいいのかもしれません。

 

社長と社員では

立ち位置   (視座)

見ているところ(視点

見ている範囲 (視野)

が違います。

 

だからこそ、

丁寧に話をしていくこと

言葉の定義を揃えていく、

意識を揃えていく努力

が必要なのですね。