2023.03.07
[強くてやさしい会社]
お客様の声は改善を促してくれる

人を大切にする経営学会会長、経営学者の坂本光司先生によると
「良い会社は、顧客からの苦情や要望意見を日常的に吸い上げる仕組みがあり、それが経営に改善・反映されるように機能している」と言います。
意見を言ってくださるお客様は、2種類に分類されます。
最初の方は、クレーマーであるかのように、些細なことで文句を言うような方です。
しかし、もう一方は、正義感の強さから、その会社やお店のことを考えて、
辛辣なことも、あえて言ってくださる方です。
大多数のお客様は、不満足であれば
黙って離れていってしまうわけです。
ですから、気が付かなかったことに気づかせてくれて、
改善につながるようなご意見をくださるお客様は
とても貴重なお客様といえましょう。
お客様の声を直接社長に集める
福岡県北九州市に本社を置くトップ保険サービス株式会社様は
「ノルマなし、個人目標なし、新規営業禁止」という、
普通の保険代理店の常識の真逆を貫いて
お客様から絶大な信頼を得ている保険代理店です。
既存のお客様を大事にすることで
口コミや紹介で新しいお客様も増えていくという
とても顧客満足度が高い会社です。
顧客満足度を高めることに努力を払っていますから
以前から、ホームページから集めるお客様アンケートがありました。
「それでも、お客様は言いにくいことがあるかもしれない」
と考えた野嶋康敬社長は、
お客様の声を直接届けていただくための「天の一言」ハガキという仕組みを作りました。
「天の一言」はお客様に手書きで書いていていただくハガキで、
営業社員からお客様にハガキ用紙が手渡されます。
会社への要望や意見感想などを書いたお客様から郵送されますが
郵送の時には目隠しシールを貼って出していただきます。
届いたときに、社員は内容を見ることができません。
最初に読むのは社長の野嶋さんです。
仕組みを作った動機は
お客様の真意を知りたいという思いからでした。
それでもお叱りを頂くようなことはほぼ無く、
お礼や感謝など気持ちのこもった声が年間200~300通は寄せられているそうです。
社長への手紙をモチベーションにして
野嶋さんは頂いたハガキを丁寧に読み、1枚ずつお礼の返信を書いています。
定型文で返すことは決してありません。
お客様一人一人に心を込めて万年筆で丁寧に返信を書きます。
そして「天の一言」ハガキを朝礼時に発表し、担当した社員を全員で讃えます。
さらにオフィスに貼り出して共有します。
このハガキを始めてから社員同士の刺激になり、モチベーションがぐんと上がりました。
野嶋さんも、お客様のことを我がこととして知る貴重な仕組みだと考えています。
このようにトップ保険サービス株式会社様では
お客様の声を日常的に吸い上げる仕組みとして
お客様アンケートに加えて、
「天の一言」ハガキという2重の仕組みを取り入れました。
お客様の声を大切したいという気持ちがあるからこその
施策ではないでしょうか。
あなたの会社では、お客様の声を真摯に聴くために
どんな仕組みを作っていますか?
※トップ保険サービス株式会社様のエピソードについて
「人を大切にする経営」2022年第4号に執筆をいたしました。
詳細はぜひ季刊誌をご覧ください。