リピート率、紹介率を高めるには

2023.07.24

[強くてやさしい会社] 

 新規開拓しない保険代理店の事例

 

九州にある保険代理店A社は「ノルマなし、個人目標なし、新規営業禁止」という、

一般的な保険代理店の常識の真逆を貫き、お客様からの信頼を得ています。

 
新規営業は禁止なので、自然と既存のお客様に対するサービスがきめ細かくなります。

 

お客様が事故やトラブルに見舞われたとき、お客様の最も近くにいる代理店としての役割を追求しています。

もし、自動車事故が発生すれば、可能な限り24時間年中無休で、現場に駆けつけるようにしました。

 

近隣エリアで、複数のお客様が被災されるような大規模火災の発生時も、お客様の担当者は、現場に真っ先に駆け付けました。

最初に駆け付けた社員は、自分が担当するお客様だけでなく、別の社員が担当するお客様にもスピーディーに対応しました。

被災されたお客様への親身な対応が周囲の会社の目に留まり、「あの保険屋さんを紹介してほしい」と新たな契約があったそうです。

このように、新規営業をしていなくても、ご紹介や口コミが絶えません。

 

ご紹介率が高い住宅会社の事例

 

地方の住宅建設会社B社は、年間約70棟を超える新築住宅を着工しています。

お客様の7割が、既存のお客様からのご紹介です。

営業エリアが車で30分以内に駆け付けられる範囲に限定しているにも関わらずです。

B社のご紹介が多い理由は、営業マンの「歩合給」をやめたことが大きく寄与しています。

歩合給は「社員の個人戦」という様相が強まります。

アフターサービスを重視しているにもかかわらず、売上に直結しないからと手を抜いたため、

クレームになるということもありました。

そこで、「お客様を訪問してコミュニケーションを取ること」を評価のポイントの一つにしたところ、

営業部門内で自然に協力体制が生まれ、相互に情報を交換したうえで、営業に飛び出していくようになりました。

 

  • エネルギーはお客様に向ける

 

前述の企業では、社員同士が競争し合うことはありません。

社員間で張り合うエネルギーを、お客様に向けている会社なのです。

 

社員同士が良いライバルとして、切磋琢磨しながら成長していくこともあるでしょう。

ですが、お客様をめぐって張り合ってしまっては本末転倒です。

業種や販売商品などにもよりますが、リピート率70%以上、

あるいはお客様の口コミやご紹介による新規のお客様が70%以上であることは、安定した経営への目安です。

社員がお客様へのサービスに集中できるような仕組みづくりが求められます。

 

※ こちらは川崎商工会議所会報誌「儲かる!商売に役立つワンポイント」に寄稿いたしました。(2009年から連載中)