社内用語の定義の明確化と、チームの活性化との関係

2023.11.17

[コンサルの視点から] 

社内用語を前向きな言葉に置き換える

 

東海地方の工務店E社(従業員50名強)では、

社内で前向きな言葉を使っていこうと、

マイナスの意味を持つ言葉の言い方を換えてみました。

  
例えば、お客様からのクレームを

「チャンスボイス」

と言い換えています。

 

お客様からのクレームは耳が痛いものですが、

それに誠実に対応すれば信頼や評価を取り戻し、

さらに業務の進め方など、

様々な改善のチャンスを頂けるからです。

  
E社は、日ごろから顧客満足度を高める工夫をしています。

ですから、社員はお客様の声に耳を傾ける心がまえを持っています。

 

それでもクレームは嫌なものです。

 

チャンスボイスと呼ぶようになってから、

「お客様が当社を変えてくれるきっかけを与えてくれた、と社員の意識が変わった」

と社長は感じるそうです。

 

ちなみにお褒めいただいたときは「ハッピーボイス」と呼んでいます。

 

用語を定義するメリット

 

上記は、社内用語を前向きな言葉に言い換える事例ですが、

前向きか否かに関わらず、社内用語の定義を決め、

皆が同じ理解で使うことには意味があります。

実はチーム内で同じ言葉を使っているのに、

メンバーごとに少しずつ意味が違っていた、

ということは少なくありません。

 

例えば、上司と部下が「見込み客」について話しをしているときに、

とらえている範囲が異なると話もかみ合いませんし、

適切な打ち手ができない場合も起こります。

 

チームで共通認識を持っていない弊害は大きいのです。

  
そこで、社内で使う大事な言葉の定義を

明確にすることをお勧めします。

メリットは次のとおりです。

  
1) コミュニケーションの効率化
誰もが同じ理解であるため、誤解や混乱が減少し、

情報を正確に伝達できます。

 
2) 業務の効率化
仕事を進めるうえで、何をすべきかが明確になり、

仕事や作業の目的を早く達成することができます。

 
3) 教育訓練の効率化
共通の用語を使用することで、教育を容易にします。

新入社員も混乱することが少なくなり、

業務の理解が早くなります。
 

多様性や柔軟性とのバランスを

 

言葉の定義を明確にすることは、

組織内のコミュニケーションをスムーズにし、

業務を効率的に進めることができます。

 

最初のうちは、共通認識、共通理解を形成するための時間を取られたり、

不自由さも感じたりすることがあるかもしれません。

 

社員やチームの多様性とのバランスを取りながら、

少しずつ共通の用語を定義していきましょう。

 

※ こちらは川崎商工会議所会報誌「儲かる!商売に役立つワンポイント」

  に寄稿いたしました。(2009年から連載中)