2025.11.12
[小さくても強くてやさしい会社]
事業計画書は融資や補助金のためのもの?
「事業計画書は、融資をお願いするときや、補助金を申請するときに必要な書類」
と思っている経営者は少なくありません。
確かに、計画書は必須ですし、
それがきっかけで初めてつくったという方も多いのです。
しかし、事業計画書、あるいは経営計画書を
「資金調達のためのツールだけ」にしてしまうと、とてももったいないのです。
なぜなら、事業計画は、会社や店舗の未来を描き、
それを社員やスタッフと共有し、
毎日の行動に結びつけていくための「羅針盤」だからです。
事業計画の本来の目的とは
事業計画の役割は、
「今の会社の立ち位置を確認すること」、
そして「どんなお客様に喜ばれる会社・店舗になりたいか」、
「3年後にどうなりたいのか」、
「そのために何をすればよいのか」
を明確にすることです。
つまり、経営者が自社・自店の未来像を整理することに意味があります。
ある小売店の経営者は、補助金申請のために初めて事業計画書を作成しましたが、
自店の強み、持ち味や特長を再認識して言葉とすることで、
差別化のポイントを見出すことができました。
意識的に未来を考えたことによって、
「長年家族経営をしてきましたが、
あらためて経営者としての一歩を踏み出せる気がしました」
と話され、実際に新しい事業展開にも弾みがついていったのです。
計画づくりから得られる価値
事業計画の価値は、作成する過程にこそあると言ってもいいでしょう。
例えば、サービス業のある会社では、社長が一人で計画を作るのではなく、
スタッフと一緒に話し合いました。
経営に関する数字を全て共有するのは難しいので、
現状の売上や客数だけでも共有し、計画を考えました。
すると、スタッフから現場の課題やそれに対する改善提案が出てきました。
目標達成のために「月に1回はお客様を訪問する」というように
具体的な行動に落とし込むことで、迷わず動けるようになったほか、
「自分たちが作った計画だから頑張ろう」という空気が生まれました。
事業計画は、日々の行動への仕組みづくりでもあるのです。
未来を拓くツールとして
事業計画と企業の業績との関連については、
事業計画書を「作成したことがある」企業の方が、
「作成したことがない」企業に比べて売上高が増加傾向にあるという調査結果もあります。
作成後も計画の実行管理や見直しを行うことで、
さらに業績向上への効果が見込めるのです。
事業計画書を「資金調達のためのツール」から「未来を拓くツール」へと視点を変えて、
経営を次のステップへと進めてみましょう。
*こちらの原稿は、川崎商工会議所 機関誌『かいぎしょ』25年11月号に掲載されたものです。
当社代表の有村は、2009年4月より継続して、
連載「儲かる!商売に役立つワンポイント」に寄稿しております。



