ブランド価値で一歩抜き出た、まぐろ問屋の戦略とは

2019.07.07

[コンサルの視点から] 

卸売業はもっともブランド化と縁遠い業種ではないかと思っていましたが、まぐろの西松/㈱西松さんは、偏屈な私の常識を覆す、ブランド戦略で快進している会社です。

 

マグロはほぼ冷凍で輸入品、日本のどこで買っても同じものが入手できます。

しかも、今は大手小売業の買い手が優位で、価格決定権は移っています。

西松さんは創業明治27年という老舗のマグロ問屋ですが、卸売業のジレンマに陥っていました。

それを打開したのが、「ブランド化」戦略です。

 

1.商標の取得

 「西松の三崎まぐろ」という商標を取得します。まぐろだけでもなく、三崎だけでもない絶妙な言葉です。

 しかし、この商標が独自性を持つことになり、商品力につながっていきます。

 

2.まぐろコンシェルジュ

 卸売先のスーパーマーケットの社員に、マグロに関する目利き力、知識やノウハウを持ってもらい、お客様によりおいしいマグロを提供していただくために、「まぐろコンシェルジュ」という、オリジナルの認定制度を作りました。

 これによって、小売業との連携にもつながり、またマグロの取り扱い方が変わり、美味しい状態での提供が可能になったと言います。

 販売先との力関係にも、少なからず影響があるようです。

 

3.広報の強化

 積極的な情報発信をしています。

 一番上の写真の、お話をいただいた相原宏介氏(専務取締役)の後ろにかかっている「インタビューボード」もその一つです。

 また、プレスリリースも活発に出しています。

 「かながわ産業NAVI大賞」など、受賞などにも参加しています。

 このような活動は外部への訴求はもちろんのこと、社員のモチベーションアップにも大きく寄与しているそうです。

 

卸売だから、という常識を言い訳にせずに、独自の切り口を見つけている突破力は見習いたいと感じた会社です。

 

※昨年7月に視察訪問させていただいたまとめです。