2023.02.08
[強くてやさしい会社]
自動車のハンドルには「あそび」がある

自動車のハンドルには、「あそび」があるのはご存知でしょう。
ハンドルを左右に軽く回した時、タイヤが動きだすまでの余裕の部分のことで、
これがあることによって、
ハンドルを少し動かしても、方向が急に変わることはありません。
安定して運転しやすくするために、「あそび」は必要不可欠なのです。
経営にも必要な「あそび」と「ムダ」
「あそび」というのは、実は経営にも必要なことなのです。
会社のなかで、
あえて「あそび」の部分、
つまり「ムダ」を意識して、
人財育成と成長をもたらしている企業事例を紹介します。
株式会社野口製作所様(群馬県富岡市)は
野口製作所様は超精密な深絞り加工等のプレス技術と
その核となる金型設計技術力を誇りとしています。
そのため、技術を生かす職人の技、能力向上が欠かせません。
社員が技術力を高めつつも、
会社を豊かな人生を作れる場としていきたいと
代表取締役の野口大輔様は、社長就任以来、
経営理念に基づいて動いてきたそうです。
野口社長が大事にしていることが「3つのムダ」です。
1)ヒト ~ 余裕のある配置
2)時間 ~ 余裕のあるスケジュール
3)空間 ~ 余裕のある場所
※ 但し、モノのムダは作らない
新しい発想を生む環境づくりのためには、
活き活きと働ける工場、会社作りが必要であり
それには、良い意味での”あそび”、ゆとりが必要だと考えました。
それが、3つのムダという形で示されているのです。
例えば、工場の中で機械を置いて置ける場所に
あえて、ミーティングスペースを作ったそうです。
工場の社員らが、何か問題があったときに
さっと集まって、立ったままでも話ができるスペースです。
これによって、ちょっとした話ができるようになり
情報共有が進んでいったそうです。
機械1台分の場所を犠牲にしても、
ゆとりを持てる場所があることが、大きくプラスに作用しました。
長い目で見た「ゆとり」を生み出そう
「生産性の向上」という旗印のもと
現場ではゆとりが無くなっていることが増えています。
その背景には、人手不足・賃金上昇、納期短縮なども
要因となっています。
短期的に改善しよう、生産性を向上させようとすると
ギシギシに詰めていって、ゆとりが無くなってしまいます。
むやみな無駄ではなく
長期的な視点で、「ゆとり」として認識できるような
ムダやあそびを持つ意識を持っていきたいものです。
あなたの会社では、長期的視点を見据え、意識したムダはありますか?