お客様からの声でスタッフのモチベーションアップを

2024.04.12

[強くてやさしい会社] 

感謝の声は届きにくい

    
お客様はクレーム、苦情は企業にすぐに伝えます。

 

反対に、標準を超えた良い商品やサービス提供を受けても、

ほとんどは自分の心にとどめておくか、

家族や友人にそのことを話す程度です。

  

企業や店に直接、例えばメールやサンキューレターのように

感謝の気持ちを伝えるのは、

けた違いの感動を感じたときであり、めったにありません。

   
しかし、現場のスタッフはお客さまから

直接「ありがとう」「あなたのおかげです」といった声を聞いていることがあり、

サンキューレターのような改まった形だけが感謝ではありません。

    

お客様からの生の言葉こそ、スタッフにとっては仕事への誇りを感じ、

モチベーションを高めるきっかけになります。  

    

日々の小さな感謝の言葉に着目する

     

浄化槽清掃業A社(社員約40名)は、ビジネスチャットシステムを活用し、

社員から日報を提出してもらっています。

   

日報といっても、売上報告だけではなく、

その日の仕事をとおした気づき、感じたことや褒められたこと、

感謝したことを書くようにしました。

  

もちろん、お客様からのお叱りについても書いてもらいます。

日報を提出するだけの一方通行にせず、

社長はコメントを多く記入して返信するようにしました。

   
最初はぎこちないものも多かったそうですが、

4年ほど続けると次第に多くの報告が上がってくるようになりました。

   

その中で、現場でお客様から

「きれいになって良かった」

「これまでで一番きれいになったよ、ありがとう」といった

率直なお褒めの言葉を頂いて、

それがスタッフのやる気にもつながっていることを実感しました。

   

お客様からの声に対して、社長からも認めて褒めることで、

社員がさらに意識して顧客満足度を高めるように努力する空気が生まれてきたと言います。

   

A社の社長は、

「うちのような会社は、お客様からサンキューレターをもらえるような業種ではない。

 せめて苦情が無いように仕事をしてもらえれば良い。」

と思っていました。

   

しかし、お客様から褒めていただくことによる、社員に与える影響の大きさを、

日報を通じて気づくことになりました。

    

協力先にも伝えるメリット

    

現場スタッフにかけられたお客様からの感謝の言葉は、

現場スタッフだけのものではありません。

    

現場をサポートする窓口や間接部門などがあるからこそです。

ですから、A社ではお客様からのお褒めの言葉を、朝礼等で発表し、社内で共有することもしています。

    

また、製造業B社では、エンドユーザーから送られてくるお客様からの感謝の言葉は、

仕入先や協力会社に関係しているものもあるため、

それらをすべて当該企業に伝えるようにしています。

    

協力先を労う気持ちが伝わらないわけはありません。

それを見た仕入先や協力会社の社員は

「自分たちが作った製品が、こんなにも喜ばれているのか。もっと頑張ろう」

と思ってくれるそうです。

   
お客様からの声はクレームに目が向きがちですが、

小さな感謝の言葉もモチベーションアップにつながることを意識して集めてみませんか。

        

※ こちらの記事は

  川崎商工会議所会報誌「儲かる!商売に役立つワンポイント」(2024年4月号)

  に寄稿いたしました。(2009年から連載中)